強くてやわらかく、しなやかでForの精神で

新潟県病院薬剤師会副会長 長井 春樹
今年度から副会長の末席に加わらせていただきました、がんセンター新潟病院の長井と申します どうぞよろしくお願いします。 さっそくですが、「医療機関に勤務する薬剤師がチーム医療の担い手として活動するために、病棟等での薬剤管理や、医師・看護師と患者・家族の間に立ち服薬指導を行うなどの業務の普及に努める。また、医薬品の安全性確保や質の高い薬物療法への参画を通じ医師等の負担軽減に貢献する観点から、チーム医療における協働を進めるとともに、資質向上策の充実も図る。」これは、本年6月に厚生労働省によって取り纏められた「安心と希望の医療確保ビジョン」に記載されている内容です。この一文を見るまでもなく"臨床で必要とされる薬剤師"になるためには、病院薬剤師の資質向上が必須であると言っても過言ではないでしょう。日本病院薬剤師会では、がん、感染制御、精神科、妊婦・授乳婦、HIVの専門・認定薬剤師制度スタートを実施していますし、各種学会等でもNSTや緩和薬物療法などの認定薬剤師制度が始まっています。そろそろ先が見えてきた私などにとっては「大変な時代になったなー」というのが本音ですが、病院薬剤師の将来を担う皆さん方にとっては千載一遇の好機なのかもしれません。立ち止まっていたのでは、現状維持どころかどんどん取り残されてしまう時代になっています。先日、県病薬の学術講演会で元サッカー日本代表の伊原正巳さんのお話をお聴きする機会がありました。その中で井原氏は、サッカーの指導者の間では「学ぶことをしなくなったら教えることも止めなければならない」という言葉が流行っているとおっしゃっていました。私の友人から聞いた印象に残っている言葉に「夢は努力しても叶うとは限らないが、努力しなければ決して叶わない」というのがあります。それくらいの覚悟を持っていかないと病院薬剤師の将来は"地獄"?になってしまうかもしれません。とは言っても、あまり張りつめてばかりいては次第に気力も萎えてきて、ついにはポキリと折れてしまうことにもなりかねません。強い意志だけでなく、やわらかでしなやかな精神を持つことも長続きの秘訣です。私の周りにも大変な努力をして専門薬剤師を目指している薬剤師がいます。その努力には頭が下がる思いでいっぱいなのですが、そのような数少ない?スーパー薬剤師の努力だけでは、病院薬剤師全体のレベルアップにはつながってゆかないのでは、と少し危惧しているところです。最近読んだ本の中で、中国の仏教説話が引用されている箇所がありました。それによると、極楽と地獄どちらの世界にもご馳走はふんだんに用意されているのだそうです。でも、それを食する手段は1メートルもの長さの箸だけ。地獄の亡者たちはその箸を使って何とか食べ物を口にしようとするけれど、もちろんうまくいくはずがない。だからいつも飢餓感に苦しんでいる。ところが極楽の住人といえば互いに食べさせあっているからいつもお腹はいっぱい。心も平安そのものだそうです。我々病院薬剤師の将来が"極楽"となるように、強くやわらかくそして、しなやかでForの精神を持って前向きに進んでゆきましょう。